【問題】
Aさんはイラストレーターで、雑誌連載の挿絵を担当しています。
A「毎月、〆切まで約2週間みていただいているけど、送られてくる原稿を読んで絵を納品するまで、だいたい1本につき1週間あれば余裕がある感じだ。これなら、1ヶ月は4週間あるから、月に4本まで受けても大丈夫そうだ」
Aさんはそう考え、雑誌連載の挿絵のお仕事を4本受けました。するとAさんは破綻しました。
なぜでしょう?
Aさんの計算の一体どこが間違っているでしょうか?プロのイラストレーターをめざしている人は考えてみてください。
【解答例】
じつはAさんが引き受けた4本の連載は、毎月の〆切がほとんど同時でした。そのためAさんは毎月実質約2週間で4本ぶんの挿絵をこなすことになりました。いくつもの雑誌が似たような刊行スケジュールで動いている以上、〆切が近いことはしばしばありえます。また挿絵のお仕事は次回の原稿が送られてくるまではあらかじめ進めておくことができません。Aさんの誤算は制作期間がうまく重ならないように自らの裁量で配分できると思い込んでいたことでした。そして、そこにはさらなる落とし穴が。
A「ヒイヒイ、こんなことになるとは想定外だった。今後は毎月これがくるのか。しかしなんとか今月は4本こなせたぞ。というわけで、今月の残り2週間はヒマになってしまった。そうか、毎月こうしてヒマな期間ができてしまうわけか。じゃあ、そのヒマな期間に装画のお仕事でも1本入れるとするか」
やめましょう!
その追加のもう1本は危険です!なぜなら2週間後には次回の連載原稿が送られてきて強制的に中断されるため、少しでもはみ出ると作業の続きはさらに2週間後からとなってしまうからです!ひとつが遅れはじめると他の全ても遅れてゆきどこまでも止まらない!頼むからやめましょう!Aさんは社会人経験が少ないからか今頃ようやくこんな初歩的な壁にぶち当たっていて本当に恥ずかしいかぎりです!結局Aさんは破綻した遅れを自力では修復しきれず、挿絵を担当する連載4本のうち3本が最終回を迎えるまでの間ずっと泥沼な進行を続け、多くの関係者様に多大なご迷惑をおかけいたしました。心から反省しています。本当に申し訳ありませんでした。
ここでは挿絵の制作期間を1本につき1週間としましたが、もう少し力をつけていずれ「原稿確認に15分/資料に30分/ラフに15分/清書と仕上げに30分。計1.5時間」くらいまで短縮できたらまた挿絵のお仕事をがんばらせていただきたい。とAさんは思いました。