以前、おもに地方で活動されていたあるバンドの一夜かぎりの再結成ライブをたまたま観て、曲がどれもメチャクチャいい曲ばかりで、演奏もしびれるほどカッコよくて大好きになりました。基本的にはすでに活動されていなくて、後に同じメンバーによる別のバンドのライブなどは観に行ったものの、リアルタイムの現場には自分は間に合いませんでした。そのバンドは過去にはサブカル雑誌の巻頭で特集されたりもしてたようで、雑誌で知ったわけではない自分にも、ある時期にある文化の中心になるべくして期待を寄せられていたらしいことは伝わってきました。わずかに残してくれた音源で素晴らしい音楽を聴けることに、自分は感謝しかないですが、でもそんなに順風満帆だった活動がやがて散発的になりついには休止したのはどうしてだったのか、そのバンドと親しかった人に尋ねてみたところ、その人が言うには、とにかくバンドの中心だった人が気難しく、周りの人達が一丸となって盛り上げても、むげにするように些細なことを甚だ気にかけて、いつもチャンスを強引に潰してしまうのだと教えてくれました。それを聞いて、いくら期待されてもナーバスな心理のために休止する人もいるんだ、勉強になるなぁと思いました。
そのことを思い出したのは、自分の場合はそのバンドに比べたら小規模だしいい曲も書いてませんが、自分も拗ねたヤケクソで何度か人を裏切って、無自覚なままこうして自分の半生を振り返ってみるような年齢まできた気がするからで、あのとき勉強になるなぁと思ったことは、なにも勉強になってないと思いました。