パリ観光

パリへ視察・・・ではなく、家族旅行しました。有名な観光スポットをまわる中で、自分の漫画に関係あることがいくつかあったのでそれについて書きます。

『北極百貨店のコンシェルジュさん』を描くときボン・マルシェ百貨店などいくつかの老舗百貨店の内装などをめちゃくちゃ参考にしました。パリではボン・マルシェだけでなくサマリテーヌやギャラリー・ラファイエットやプランタンなど、19世紀末にできた世界最初期の百貨店が今も同じ建物で営業しています。

ボン・マルシェの有名なエスカレーターに乗ってみてはじめて、あの象徴的な交叉する形(北極百貨店2巻の装画)はエスカレーターに乗ってる自分自身からは見えないんだという当たり前のことを実感でき、嬉しかったです。サマリテーヌのポン・ヌフ館は2021年に改築されたそうです。アールヌーヴォーを現代のカワイイに翻案したようなポストモダンなデザインには日本のPARCOを思い出しました。しかしここでは本物の建物が使われているためかより特別に輝いて見えました。

泊まったホテルのすぐ近く、パサージュ内にあるバンドデシネ屋さん(1932〜)は、毎日扉を開けているので営業中と思われるのに、なぜかいつもバリケードが張られていました(写真)。ここを力づくで突破する暴挙をためらったため入店できませんでした。残念でした。

その他の(バリケードが張られてない普通の)バンドデシネ屋さんを何店舗かめぐりました。『北極百貨店』のフランス語版も見かけて嬉しかったです。パリにはたくさん書店がありました。

ほかにもいくつかめぐりました。ルーブル美術館はあまりの多さと広さに気が遠くなりました。オルセー美術館では印象派やアカデミズムの作品を高速で見られて本当に最高でした。狩猟自然博物館は小規模ながら動物たちを人間が征服した歴史にまつわるあらゆる展示物が大量に並べられていて、オカルティックで雑多な品々が自分の好みに突き刺さりました。あとPolidorという老舗レストランに行ったり、エッフェル塔の下で乗馬警官や偽ミッキーマウスやごみの山を眺めたり、観光客で超満員のモンマルトルを歩いたり、スリにびくつきながら毎日地下鉄に乗ったり、セーヌ川で半裸筋トレ集団を眺めたり、観光客がレンタル電動キックボードノーヘル二人乗りで歩道走行するのに驚いたりしました。およそ初心者の自分が行くような定番のスポットはどこも観光客だらけで、ずっと遊園地にいる気持ちでした。フランス語が一切わからない自分に対しても、そういう客のあつかいに慣れてるお店の人たちがとても手際よく愛想よく対応してくれたおかげで、終始楽しく遊べて、とても感謝してます。パリ近郊に住む日本人の方が「コロナ以降とくにパリ市民は夏季の観光客を憎んでいる」と教えてくれて、ああ記事で読んだ通りだと思いました。パリ郊外へ出ると夢から醒めたような風景が広がっていました。

海外へ行くのは、小学生のとき家族で行った韓国以来でした。過去にも海外の書店さんが招待してくれたりとか、何度か機会はありつつも、おもに出不精のために見送ってきました。フランスには去年アングレームの漫画祭にノミネートされたとき現地の出版社さんが費用を持ってくれるという、大変ありがたいご招待をいただいたものの、担当編集さんが同道してくださる意志を示されたため心配を募らせ見送りました。今回、すごい円安にもかかわらず誰にも招待されてない時に自費でパリへ行くことにしたのは、高齢のお母さんが一緒に行きませんか?と誘ってくれたからで、こんな機会はもう何度もないと考え、小学生ぶりに家族旅行をしてみたかったのでした。貯金をだいぶ減らしたけど、行けてよかったです。

最後に 今回の旅で見かけたクマをいくつか貼ります。