以前、知り合いの先輩作家さんから「文化庁メディア芸術祭の受賞を辞退した」と聞いてびっくりしたことがあります。メ芸は応募制なので基本的に辞退ということはないはずですが、その方の場合は、雑誌編集部が無断で応募していて(漫画ではよくあること)本当に優れた作品だったために最高賞が内定してしまい、後で知らされたということです。自分もメ芸に自作を応募したことがあります。自分の場合はその方とは違い、積極的にメ芸を選び、編集部に確認もせず自ら応募しました。メ芸は最高の名誉だと思っていた自分にとっては、その方が一体なぜあえて辞退したか、折角もらえるものをなぜ拒否したか、意味がわかりませんでした。色々伺って一応納得したものの、心情としてはやはりわからないままでした。
でも今日初めてわかった気がしました。自分は受賞したとき死ぬほど喜んだし、その後の活動は全てその延長線上にあると思うので、今後も感謝しつづけます。そのうえで、今後は芸術に対して文化庁がとるふるまいをよく見ながら、自分がそういう作家である意味を考えたいと思いました。