2020-12-19

西村選「このマンガを2038年に読むとどう感じるか気になる」大賞は、わたべ淳先生『レモンエンジェルⅡ』(2008年)です。

『レモンエンジェル』は1988〜90年までヤングジャンプで連載され、その続編にあたる『レモンエンジェルⅡ』は2008年にケータイサイトで連載されたそうです。それらが両方とも収録された完全版がkindleで出ています。つまり現在から約30年前のマンガと約10年前のマンガがセットになっているため、よく言われる「流行の30年周期」(10年前は古く見えるが、30年前は一周して新鮮に見える)を検証するサンプルとしても最適です。

1988年の『レモンエンジェル』は人物と背景がきれいに分離されていて、時折コピペや写真コラージュもさしはさまれたりと、そのままネオンカラーに彩色されてfuture funkのサムネイルに使われそうなポップな感覚があり、一周まわって今っぽく感じます。それに対して2008年の『レモンエンジェルⅡ』はデフォルメがより控えめに、線はより繊細に描かれていて、キャラと背景が有機的になじむ、00年代の電撃大王ぽい解像度を感じます。

どちらも自分の印象ではかなり30年周期説に適っていました。今後もその説が当てはまるなら、2038年は逆に『レモンエンジェルⅡ』のほうが新鮮に見えるはず。今とは正反対になる未来の感覚を想像するとワクワクします。その通りになるかどうか18年かけて検証するべく、2038年にもう一度『レモンエンジェルⅡ』を一緒に読みましょう。