フリースタイル 66

『フリースタイル 66』のイラストを担当いたしました。

https://webfreestyle.com

同誌のイラストを毎回担当させていただくようになって5年が過ぎました。その間しばしば自分の進行が遅れ何度もご迷惑をおかけした上に、今後さらなる再発が予想されるため、このたび終了を申し出ました。本当に申し訳ありません。編集長の吉田さんは何ひとつ制限を課すことなく自由に描かせてくださり、心から感謝しています。上の画像をinstagramに投稿したところ、いただいたコメントのなかに「So detailed! Must have taken over an hour (細かい!きっと1時間以上かかったに違いない)」というものがあり、本当に自分にこれを1時間で描ける実力があったらよかったのに、と残念に思いました。5年間、本当にありがとうございました。

2025-12-19

以前漫画の連載をさせていただいた時、その後の人生について何の考えも持っていない自分に対し、担当編集さんが「この漫画を売るために、新しく漫画を描いてください。漫画を描くことこそが漫画の最も効果的な広告なので(大意)」と言葉をかけてくださいました。この担当編集さんはかつて、誰もが知っている大手広告代理店に勤めておられました。色々とお話しくださった中に、にぶい自分にはキャッチしきれていない言葉も多々あるかとは思いますが、広告と漫画についての深い洞察があるこの言葉は、にぶい自分にも衝撃的に響き、今でも心に突き刺さっています。この言葉は自分を動かしてくれた人生の名言だと思っていて、自分が実際、それっきり商業漫画から身を引いて5年以上過ごしたことで証明されていると思います。今後も指針とさせていただきたいです。

なめとこ山のクマ

『民民』創刊号に参加します。宮沢賢治『なめとこ山の熊』を元にした26ページの漫画を寄稿しています。下記イベントから頒布が開始される予定です。
12月14日(日)ZINEフェス大阪
1月10日(土)ZINEフェス東京

今後の情報などは主宰の永美太郎さんによる発信をご確認ください。

二階堂正宏さんの『恩讐の彼方に』というギャグ漫画短編集を今年5月に読みました。菊池寛や太宰治の作品を換骨奪胎した短編が3編収録されている一冊です。本気と冗談の中間をフワフワただよう絵を見るうちに自分も漫画を描きたい、と気持ちが昂まりました。そこへ折よく永美太郎さんから「近代文学をテーマにした同人誌を創刊するから参加しないか」とお誘いをいただきました。『なめとこ山の熊』を選んでくれたのも永美さんで、クマが大きな注目を集めるこの年に、クマと熊撃ちとの交流を描き死生観のありようを問う同作を提案してくれました。二階堂正宏さんの『恩讐の彼方に』に触発されていた自分としては、こうして宮沢賢治の作品を換骨奪胎した短編を描く機会をもらえて嬉しかったです。また近ごろ葦ペンを使ってクマを描くことに凝っていることもあって、描くのが楽しかったです。

2025-11-20

集めた資料や綿密にお膳立てしてきた下絵が、制御しづらい葦ペンでザクザク線を引くたび一つ一つ役目を終えていく。盛られすぎた墨汁がドライヤーでは乾ききらなくてスキャナーのガラスの上で拭かれて終わる。描き上がった原稿のしょぼさがとても信じられなくて、ランダムな墨汁だまりや偶然向きが揃った線などの無意味な事故にあたかも目に見えない何かが宿っているかのように自分をそそのかす。ペン入れ楽しいです。