なめとこ山のクマ

宮沢賢治『なめとこ山の熊』を元にした26ページの漫画を、『民民』創刊号に寄稿しています。下記イベントで頒布予定です。
12月14日(日)ZINEフェス大阪
1月10日(土)ZINEフェス東京

詳しくは主宰の永美太郎さんによる発信をご確認ください。

今年の5月頃、二階堂正宏さんのギャグ漫画集『恩讐の彼方に』を読みました。菊池寛や太宰治の作品を換骨奪胎したギャグ漫画が3編収録された一冊です。本気と冗談の中間をフワフワただよう絵を見ていると5年来はじめて漫画を描きたくなりました。折よく永美太郎さんから、近代文学をテーマにした同人誌を創刊するから参加しないか、とお誘いいただきました。そうして宮沢賢治の作品を換骨奪胎した短編漫画ができました。ぜひ見てください。

2025-11-20

集めた資料や綿密にお膳立てしてきた下絵が、制御しづらい葦ペンでザクザク線を引くたび一つ一つ役目を終えていく。盛られすぎた墨汁がドライヤーでは乾ききらなくてスキャナーのガラスの上で拭かれて終わる。描き上がった原稿のしょぼさがとても信じられなくて、ランダムな墨汁だまりや偶然向きが揃った線などの無意味な事故にあたかも目に見えない何かが宿っているかのように自分をそそのかす。ペン入れ楽しいです。

2025-10-23

連日国内で多くの熊害が報道されています。被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げます。

近い将来、クマをかわいらしく肯定的に表現することが反社会的とみなされる風潮になるかもしれないと想像しました。そしてまた、もう少し先の未来、人間がクマを野生絶滅させるなどして熊害問題を克服したとしたらそのときは逆にクマに同情的な風潮になるかもしれないと想像しました。

クマが恐ろしい害獣であると同時にかわいいキャラクターでもあるという二重性に自分はやや固執していたいため、どんな世の中になったとしても自分が描くものは誰かにとって不謹慎にあたりうると思います。せめて誰かにとっておもしろいクマであったらいいなと思います。