先日近所のお祭りでチンドン屋が「マツケンサンバⅡ」を演奏するのを見ました。3人という少人数編成の演奏と踊りと装飾でとても楽しい気持ちになり、それ以来頭の中でずっと「マツケンサンバⅡ」が鳴っています。
初めてテレビで見たとき、江戸幕府将軍が歌い踊りながらいくつもの異国文化を統べている強烈な世界観に衝撃を受けました。「叩けボンゴ ひびけサンバ」と現実のくびきを吹き飛ばす勢いはいつ聴いてもしびれます。「マツケンサンバⅡ」の作詞やパフォーマンスには元OSKや元タカラジェンヌなど現代のレビューを作られてきた方々が多く参加されているそうです。
レビューはもともと19世紀パリではじまり、流行最先端だったパリ万博を参考にして国際色豊かなスタイルを確立したそうです。自分はかつて宝塚のレビューを観劇しました。歌と踊りと寸劇と豪華絢爛な装飾の輝きでこの世にないほどの楽園が表現されていて心を奪われました。
最初期のレビューは1年間の出来事を振り返る(再び見る)という笑劇の流れをくむ卑俗な風刺劇で、そこからrevueという語の意味に「批評」が加わったそうです。しかし映画など他の大衆娯楽産業の勃興もあって、後にこの形式が各国へ伝わる頃には社会批評としての側面はすっかり削がれたそうです。現実と切り離されることでいっそう過激化した反実仮想の完成形が現代のレビューでありそこから派生したのが「マツケンサンバⅡ」だとすると、自分が夢中になった理由はよくわかる気がしました。