2019-09-27

以前、知り合いの先輩作家さんから「文化庁メディア芸術祭の受賞を辞退した」と聞いてびっくりしたことがあります。メ芸は応募制なので基本的に辞退ということは起こりえません。しかしその方の場合は雑誌編集部が彼に無断で応募していて(漫画ではよくあること)本当に優れた作品だったために最高賞が内定してしまい、後で知らされたということです。自分もメ芸に自作を応募したことがあります。自分の場合はその方とは違い、積極的にメ芸を選んで、編集部も通さず自ら応募しました。メ芸は最高の名誉としか思ってませんでした。そんな自分にとっては、その方が一体なぜあえて辞退したか、何もしないで折角もらえるものをなぜ拒否したか、意味がわかりませんでした。色々質問をして、理屈としては一応わかりましたが、心情としてはやはりわからないままでした。

でも今日初めてわかりました。自分は受賞できて死ぬほど嬉しかったし、それ以降の活動は全てその延長線上にあるので、今後も感謝しつづけます。そのうえで、今後は芸術に対して文化庁がとるふるまいをよく見ながら、自分がそういう作家である意味を考えたいと思いました。

2019-09-13

10月末頃に玄光社さんから画集が出ます。以前「イラストレーション」誌で西村ツチカ特集をしてくださいました(→)。

装幀は大島依提亜さんです。大島さんが手がけられた数々の素敵な装幀の中で、自分にとって最高に印象的だったのは「ムーミン展 THE ART AND THE STORY」の図録です。表紙の黒箔押しから本文の紙からメチャクチャかっこいい本なのですが、内容のほうも小説版ムーミンや絵本版ムーミンの挿絵だけでなく、広告などの仕事、アトリエなどトーベ・ヤンソンに関する写真、作風の影響関係を考察したコラムや、来日時にホテルに残したラクガキや試し書きまで、300ページを超える盛りだくさんな内容で、さらに小さな冊子が綴じ込まれている遊び心もそなえた楽しい本で、トーベ・ヤンソンファンの自分は手にとった時に感激が押し寄せました。最高なので、ムーミン好きの方はぜひ手に入れてください。

西村ツチカ画集は、自分が今までの絵とマンガを、全て大島依提亜さんに見ていただき、そこから選んでいただくことにしました。自分は作風がたびたび変わり(漫画もですが)、どのように絵を並べても、一貫性が感じられないのです。だったら、時系列はバラバラで、テーマもなく網羅的でもなく、自由な感じで楽しさがつながっていく内容にしようと、編集者さんと3人で相談した結果、決まりました。楽しんでもらえたら幸せです。

束見本

多くの作家さんは、絵を描きはじめた当初は、色んな作風を試みると思います。自分はまだその段階なのです。稚拙な絵でも、こうしてまとめて見た時に、楽しさが何となく伝わってきたらいいなと期待してます。